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テーマ糖質との上手な付き合い方

 近年、「糖質制限」という言葉をよく耳にするようになり、「糖質オフ」や「低糖質」を謳った食品や飲料も増えているようです。この「糖質」について、実際はどのようなものなのか?健康にどう影響しているのか?を正しく理解して、偏りの無い食生活を目指しましょう。

1.糖質とは?

 「炭水化物」と「糖質」は、どちらも同じものと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には少し異なります。

炭水化物は、脂質・たんぱく質と並び、人間のエネルギー源となる3大栄養素といわれており、炭水化物から、消化・吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」を除いたものが「糖質」と定義されています。
糖質は、私たちが日々の活動で消費するエネルギーのもとになります。

ちなみに、「糖質」に似た言葉に「糖分」がありますが、炭水化物の意味で用いられたり、糖質の中の甘いものといった意味で用いられたりと、明確な定義は無く、曖昧な言葉として使われています。

(1) 糖質の働き

 食べ物に含まれる糖質は、消化・吸収されてブドウ糖に変わり、血液によって体の隅々へと運ばれ、エネルギーとして利用されます。
脂質・たんぱく質もエネルギーに利用されますが、糖質は、この2つと比べ、素早く、効率的にエネルギーとして利用されるという特長があります。

糖質は、体はもちろん、脳にとっても重要です。脳の主なエネルギー源は血液中の糖質で、1時間に5gものブドウ糖を消費するともいわれています。
更に、糖質は体をつくる成分でもあり、遺伝情報を担う「DNA」(※1)・「RNA」(※2)等、核酸の材料となります。

※1:「DNA」

 別名、デオキシリボ核酸。生物の細胞内に存在し、遺伝情報を保持している物質。生物の体を形づくり、正常に機能するために必要な、設計図の基となる物質。デオキシリボース・リン酸・塩基から構成されており、これが多数連結して、鎖のように伸びた形をしている。

※2:「RNA」

 別名、リボ核酸。DNAが主に遺伝情報の蓄積や保存の役割を担うのに対し、RNAは、DNAの情報を基に、たんぱく質の合成に関係したり、生体内での機能的な働きをしたりする等、動的な役割を担う。

 

(2) 糖質を摂り過ぎると?

 エネルギーとして利用されずに余ったブドウ糖は、「グリコーゲン」(※3)につくり変えられて肝臓と筋肉に貯蔵され、必要に応じてエネルギー源として使われます。
但し、貯蔵出来るグリコーゲンの量には限界があるため、グリコーゲンとして貯蔵出来なかった糖質は、他のエネルギー源と同様に、「中性脂肪」(※4)につくり変えられ、体脂肪として蓄えられます。

 

※3:「グリコーゲン」

 動物の殆どの細胞に存在する糖。動物が糖を摂取すると、肝臓や筋肉でグリコーゲンに変えられ、貯蔵される。分解されることでブドウ糖となり、脳や筋肉等のエネルギー源となる。

※4:「中性脂肪」

 肉・魚・食用油等、食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質。単に脂肪とも呼ばれる。その性質が中性であることが、名前の由来。人や動物にとって重要なエネルギー源である一方、摂り過ぎると、体脂肪として蓄えられ、肥満を招き、生活習慣病を引き起こす。

 

 また、糖質の多い食事を取ると、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が急激に上昇します。
通常であれば、膵臓から分泌される「インスリン」(※5)の働きにより、2〜3時間経つと食事前の血糖値に戻るのですが、糖質を摂り過ぎたり、空腹時に突然、ご飯やパン等、糖質主体の食べ物を沢山食べたり、良く噛まずに飲み込むような早食いをしたり等、血糖値を急上昇させるような食べ方をしたりすると、血糖値が上手く下がらなくなってしまいます。 

※5:「インスリン」

 食後に血糖が上がらないように調節するホルモン。血液中のブドウ糖を体の細胞に送り込んで活動エネルギーに変えたり、エネルギーを蓄える働きも持つ。

 

 更に、最近では過剰な糖質が引き起こす「糖化」に注目が集まっています。
糖質を摂り過ぎると、体の中のたんぱく質と糖質が結合し、「AGEs(最終糖化産物)」(※6)という老化物質に変わってしまいます。
この反応を「糖化」といいますが、糖化で生じた「AGEs」という老化物質は、血管や骨をもろくしたり、肌のシワやたるみを引き起こしたり、アルツハイマー病にも関係するといわれています。

※6:「AGEs(最終糖化産物)」

 過剰に摂取した糖とたんぱく質が、熱によって結合すること(糖化)により、体内に生成される物質。糖化が進むと、たんぱく質は本来の働きが出来なくなり、美容や健康に悪影響を及ぼすといわれており、近年研究が進められている。

 

2.糖質摂取のポイント

 糖質の摂り過ぎは、血糖値の急上昇を引き起こし、肥満や糖尿病等、様々な健康トラブルに繋がります。
しかし、極端にカットして不足してしまっても、体に思わぬトラブルを招いてしまいます。

健康のためには、糖質の摂り過ぎに注意し、適正にコントロールすることが大切です。
普段から主食の量を多く摂りがちな方や、間食として甘いものを多く摂りがちな方は、食材の選び方や調理を工夫して、適正な糖質量を意識した食事を心がけましょう。

(1) 糖質は1日にどれくらい摂れば良い?

 厚労省により定められた「日本人の食事摂取基準」では、1日の摂取エネルギーの内、およそ50〜65%を炭水化物から摂るのが望ましいとされています。

例えば、一般的なデスクワークが多い30〜40代の男性の場合、1日の摂取エネルギーは約2,300kcal、糖質の量としては約270〜360gです。
ご飯で言うと、茶碗1杯(約150g)あたりに糖質は約60g含まれるため、4杯半〜6杯分の量にあたります。

しかしながら、この糖質の量は、総エネルギー量の確保のために必要とされる量であり、どうしても糖質で摂らなくてはならない量という訳ではありません。
ブドウ糖を主なエネルギーとして利用する脳等のために必要な量として、日本人の食事摂取基準では、1日の必要最低量はおよそ100gと推定されています。また最近では、適正な糖質の摂取量を1食あたり20〜40gにするという考え方もあります。

但し、糖質制限を意識し過ぎるあまり、本来、体に必要なエネルギーよりも不足してしまっては健康上問題になります。
また一方、あるアンケート調査では、糖質摂取量を気にかけているにもかかわらず、食事摂取基準で定められている量を超えている方は、全体の4割に上っていたそうです。
そのため、まずは自己判断で始めるのではなく、適切な量はどれくらいなのか?食事摂取基準の量を目安として、ご自身の食事を見直してみると良いでしょう。
  

(2) 低GI食品を利用してみよう

 糖質の量だけでなく、血糖値を急上昇させないことも大切です。
血糖値の上昇を緩やかにするために、食品選びの基準として「GI値」という数値があります。

「GI」とは「グリセミック・インデックス」の略で、簡単に言うと、血糖値がどれだけ上がりやすい食品であるかを数値で表すものです。数値が高いほど血糖値は上がりやすくなります。
大まかですが、消化が良く、血糖値が上がりやすい食品ほどGIが高く、GIが低い食品は血糖値の上昇が緩やかです。
しかしながら、同じ炭水化物でも、食品の形状や食物繊維の量によって血糖値の上がり方は異なります。パンやご飯等の主食はGIが高い食品ですが、普通のパンを全粒粉入りパンや小麦ふすま(小麦の外皮や胚芽を使った)パンに代えたり、ご飯であれば、大麦入りのご飯や玄米ご飯に代えたりすることで、食後の血糖値上昇を緩やかにすることが出来ます。 

 

(3) 食べ方を工夫してみよう

 食品選びだけでなく、食べ方や調理の工夫等によっても血糖値の上昇を緩やかにすることが出来ます。
 

●食物繊維の多い食品を利用
 食物繊維には、ブドウ糖の吸収を穏やかにする働きがあり、血糖値の上昇を緩やかにするといわれています。
また、食事の際、最初に食物繊維の豊富な野菜から食べると、血糖値の急な上昇を抑え、空腹感が落ち着くため、炭水化物や脂質の食べ過ぎも抑えることが出来ます。

 

<食物繊維の多い食品の例>
・「水溶性食物繊維」(※7)の多い食品…海藻、果物、いも類、豆類、野菜 等
・「不溶性食物繊維」(※8)の多い食品…穀類、豆類、いも類、きのこ、野菜 等

※7:「水溶性食物繊維」

 水に溶け、食品の水分をネバネバさせる性質を持つ食物繊維。その粘着性により胃腸内をゆっくり移動するため、糖質の吸収を緩やかにし、食後血糖値の急激な上昇を抑えるといわれる。野菜や果物、こんにゃく、海藻類等に多く含まれる。

※8:「不溶性食物繊維」

 水に溶けず、水分を吸収してふくらむ性質を持つ食物繊維。水や酵素がデンプンに入り込むのを遅らせる物理的障壁として存在するため、消化が遅くなるといわれる。穀類、豆類、いも類、きのこ、野菜等に多く含まれる。



●牛乳・乳製品と一緒に食べる
 ご飯と牛乳・乳製品を一緒に食べた場合、ご飯だけ食べた場合よりも、GIが低下するという研究報告があります。
これは牛乳が、糖質をブドウ糖に分解する酵素の働きを抑えることが理由の一つと考えられています。
 

●調理方法、調味料を工夫
 調理方法や調味料によってもGIは変わります。

・ゆで方を硬めに:麺類等は、ある程度硬めに調理するとGIが下がります。
・油を使用する:糖質の多いご飯は、チャーハン等のように油を使って調理すると、GIが下がります。
但し、油自体は「脂質」という高エネルギーですので、摂り過ぎには注意しましょう。
・酢を使用する:胃の中での消化時間を遅らせる働きがあるため、GIが下がります。

 糖質は、肥満や糖尿病の原因になるからと悪者扱いされることもありますが、人間が活動する上で重要なエネルギー源となるため、バランス良く摂取することが大切です。出来ることから少しずつ食生活の中に取り入れてみましょう。
そして、糖質と上手に付き合いながら、適度な運動を心がけ、健康的な毎日を送りましょう。
 

3.カワチ薬品栄養士おすすめレシピ

美味しく糖質&カロリーオフ「ふんわり卵のオムライス」

レシピは上のリンクをクリックするとPDFファイルをダウンロードして頂けます。 


2018年12月3日 カワチ薬品ドラッグインフォメーション室
参考:・厚生労働省 「『日本人の食事摂取基準』(2015年版)」
・大塚製薬(株)ウェブサイト https://www.otsuka.co.jp/
・サラヤ(株)ウェブサイト https://family.saraya.com/index.html

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