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テーマ元気な脳のための健康習慣

脳が活発に働くために重要な「認知機能」は、何もしなければ早い段階から衰え始めると言われています。認知機能の低下を予防するためには、しっかりと頭を使うだけで無く、栄養バランスの取れた食生活や、適度な運動や休養による体力の維持と共に、生きがいや楽しみを感じながら日々の生活を送ることが大切です。

1.認知機能低下の原因

 認知機能が低下する原因には、加齢や不規則な生活習慣等がありますが、その他にも、睡眠薬・抗うつ薬・精神安定剤等の医薬品によるものや認知症・脳腫瘍等の脳疾患、「甲状腺機能低下症」(※1)、ビタミン欠乏症等も原因となります。

 

※1:「甲状腺機能低下症」

 甲状腺ホルモンの分泌が低下した状態で、無気力・疲れやすい・まぶたの腫れ・体重増加・動作緩慢・記憶力低下・便秘等の症状が現れる。高齢の女性に多いとされている。

(1) 加齢

 記憶力は、20代をピークに徐々に減退していくと言われています。
 特に60歳頃になると、記憶力に加えて判断力や適応力等も衰え始め、記憶力・判断力・適応力を含めた認知機能が低下していくと言われています。

 

(2) 不規則な生活習慣

 栄養バランスの乱れた食生活や、過労、寝不足が続いたりすると、集中力が低下して物忘れが多くなります。
 特に睡眠を取ることは、体の疲労回復だけでなく、脳に入った情報を整理し、記憶として定着させるために大切です。睡眠不足は記憶力の低下にも繋がります。

(3) ストレス

 ストレスは、「活性酸素」(※2)を発生させるばかりでなく、脳内の情報伝達を行う神経伝達物質の働きにも深く関わっています。神経伝達物質の働きが低下すると、精神的に不安定になり、集中力も散漫になるほか、脳にも悪い影響を及ぼします。

 

※2:「活性酸素」

 大気中の酸素よりも活性化された酸素で、不安定で色々な物質と反応しやすい性質を持つ。呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が不完全に還元されて活性酸素になる。様々な体の成分と反応し代謝を調整する一方、過剰に生じたものは細胞を傷付け、老化・がん・動脈硬化・その他多くの疾患をもたらす重要な原因となる。

(4) 活性酸素によるダメージ

 脳は、人の体の中で最も沢山の酸素を必要とする器官で、呼吸の際に吸い込む酸素の30〜50%を消費しています。
 酸素の消費量が多い脳では、エネルギーを作り出す際に発生する活性酸素も大量に発生していると考えられ、活性酸素によるダメージを受けやすい器官と言われています。

 

 

2.元気な脳のために〜食事のポイント〜

 脳の働きと密接に関係する栄養素を、普段の食事の中で取り入れましょう。

(1) 食事は、1日3回バランス良く

 脳が体重に占める割合は2%に過ぎませんが、エネルギー消費量は20%近くにもなり、多くのエネルギーを必要とします。

 そのため、エネルギー源であるブドウ糖をしっかり補給しましょう。
 ブドウ糖は、ごはんやパン等の炭水化物や、砂糖等の糖質が消化されて出来ます。
 食事で栄養が十分に摂れていない低栄養の状態では、脳のエネルギー源となるブドウ糖が不足し、脳がエネルギー不足の状態になってしまいます。

 この脳のエネルギー不足が、認知機能低下に繋がります。
 そのため、食事は1日3回バランス良く取るようにし、特に朝食は、欠かさずきちんと取るようにしましょう。

 

(2) 野菜や果物を摂りましょう

 野菜や果物には、ポリフェノール、β-カロテン等といった「カロテノイド」(※3)類等、植物由来の化学成分「ファイトケミカル」(※4)が含まれており、抗酸化力に優れています。
 また、野菜や果物には、活性酸素を抑えるビタミンEやビタミンCといったビタミン類も豊富に含まれています。

 活性酸素の働きを抑えるためにも、野菜や果物を意識して摂るようにしましょう。

 

※3:「カロテノイド」

 動植物に広く存在する黄色または赤色の色素成分。水に溶けにくく油に溶ける性質を持っており、強い抗酸化作用を持つ。代表的なものとして、β-カロテン、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン等。
活性酸素の発生を抑え、取り除く作用を持つ。緑黄色野菜、柑橘類等の果物、海藻類、甲殻類、卵黄等に含まれる。

※4:「ファイトケミカル」

 「ファイト」はギリシャ語で植物を表す。植物が、自ら外敵から身を守るためにつくり出す色・香り・苦味等の栄養素のこと。緑黄色野菜、淡色野菜等、様々な野菜や果物に含まれる。強い抗酸化力・抗菌作用を持つ。



・β-カロテン

 β-カロテンには、有害な活性酸素から体を守る抗酸化作用や、免疫を増強する働きがあるとされています。
 また、体内で必要量に応じてビタミンAに変換され、肌の健康を維持したり、のどや鼻等の粘膜に働いて細菌から体を守ったりする等の役割を持っています。
 にんじん、ほうれん草、かぼちゃ等の緑黄色野菜や、柑橘類やスイカ等の果物に多く含まれます。

※ β-カロテンの摂取目安量は厳密には定められていませんが、ビタミンAの12分の1の作用を示すと考えられています。

■参考:ビタミンAの1日の推奨量(成人)…男性:850μgRAE/日 女性:650μgRAE/日
RAE…「レチノール活性当量」(※5)。

※5:「レチノール活性当量」

 β-カロテンはビタミンA活性を有するものの、生体利用率はレチノール(ビタミンA)の12分の1と見積もられているため、レチノールに相当する値として示している。レチノール活性当量(µg)=レチノール(µg) + 1/12β-カロテン当量(µg)。

 


・ビタミンE

 抗酸化作用により、体内の脂質の酸化を防いで体を守る働きがあると言われています。
 この働きにより、血液中の「LDLコレステロール」(※6)の酸化による動脈硬化等、生活習慣病に関連する疾患を予防することが期待されます。
 モロヘイヤ・かぼちゃ・赤ピーマン・アボカド・キウイフルーツ等に多く含まれています。

 β-カロテンとビタミンEは、油脂と一緒に摂ると吸収が良いことから、炒めたり、揚げたりする油脂を使った調理がおすすめです。

※6:「LDLコレステロール」

 肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担う脂質の1つ。一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれており、増え過ぎると血管の壁に溜まっていく。これが蓄積していくと血管が細くなったり動脈硬化を進行させて、心筋梗塞や脳梗塞を誘発する。


 


・ビタミンC
 ビタミンCは、抗酸化作用により有害な活性酸素から体を守る働きをすることから、動脈硬化や心疾患を予防することが期待出来ると言われています。
 また、体の細胞と細胞の間を結ぶ働きをするたんぱく質のコラーゲンをつくるのに不可欠なビタミンで、皮膚や粘膜の健康維持にも役立ちます。
 ピーマン・ゴーヤ・ブロッコリー等の野菜、イチゴや柑橘類等の果物に含まれます。
 ビタミンCは、水に溶けやすく熱に弱いので、出来るだけ新鮮な生のままで食べるのがおすすめです。

 


青魚を摂りましょう

 青魚には、脂質の内、「必須脂肪酸」(※7)と呼ばれる「DHA」が含まれることが知られています。
 この「DHA」は、脳の神経組織の発育や機能維持に必要な栄養素で、脳の情報伝達をスムーズにする働きがあると言われています。

 また、この必須脂肪酸にはもう一つ、「EPA」という栄養素が含まれています。
 「EPA」は、血液中の中性脂肪を正常に保ち、脳神経細胞膜の機能を高める作用があると言われています。そのため、青魚を意識して摂るようにしましょう。

※7:「必須脂肪酸」

 人体を維持するために必要な脂肪。体内で合成出来ないため、食事から摂取する必要がある。欠乏すると皮膚炎等を発症する。

  最近では、DHA・EPAやイチョウ葉を含有する認知機能に関する機能性表示食品も多く販売されています。毎日の食事内容を見直しながら、食生活に足りない栄養素を無理なく補給するために、こうした機能性表示食品も活用するのもおすすめです。


 

2.元気な脳のために〜生活上のポイント〜

 適度な運動、十分な睡眠、ストレスを溜めないこと、生きがいや楽しみを持つこと等が良いと言われます。

(1) 適度に体を動かしましょう

 運動をすると体の血流が増加しますが、同時に脳の血流も増加するため、脳細胞の成長を促すとされます。
 また、運動で筋肉を動かすことで、筋肉から大量の情報が神経を伝わって脳に届き、脳を刺激して活性化します。
 その他、運動によって筋肉細胞から放出されるホルモンが、脳の神経細胞の活性化や神経伝達機能の向上に働くとされています。

 運動は、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングやエアロバイク(自転車こぎ)等の有酸素運動が良いとされ、強めの運動を週1回行うよりも、30分程度の運動を週3〜4回程度行うことが大切です。  

 特に、運動しながら同時に頭を使うことが効果的とされています。
誰かと話をしながら歩く、100から3を引き続ける計算をしながら歩く、2〜3人でしりとりをしながら歩く等もおすすめです。

 

 

(2) 十分な睡眠を取りましょう

 脳に入った情報を整理するためには、十分な睡眠が欠かせません。
 就寝・起床の時刻を出来るだけ規則的にし、不規則な仮眠を避ける、昼寝や仮眠は短めにする、カフェインは「大脳新皮質」(※8)を興奮させるので、カフェインを含むコーヒーや紅茶類を夜に飲むことは避ける、アルコールの多量飲酒は避ける等、質の良い睡眠を取ることを心がけましょう。

※8:「大脳新皮質」

 大脳の表面を覆う大脳皮質の中で最も外側に存在する部分のこと。思考・言語・認知等の高度な知的機能を司り、人等の高等生物で発達する。



 

(3) ストレスを溜めないようにしましょう

 慢性的なストレスは、うつや不安状態を引き起こし、脳の機能をも阻害します。
 自分の時間を趣味や好きなことに使う等、ストレスを発散・解消し、溜めないようにしましょう。


●生きがいや楽しみを見つけましょう
 脳の大脳皮質の「前頭葉」という部分は、思考や判断を司っており、この部分が衰えると物忘れや判断力が鈍ってきます。
 言葉で自分の考えを表現したり、相手の考えを理解したりするコミュニケーションは、前頭葉を非常に効率良く刺激してくれる行為です。
 そのため、趣味を楽しむ、親しい友人や仲間との親密な交流や、地域の活動に参加する等の生きがいや楽しみを持つ等すると良いでしょう。
 日常生活を充実させることで、幾つになっても脳を刺激し続け、元気な脳を保つようにしましょう。



その他物忘れに関する内容は、薬剤師コラムをご覧下さい。


 

3.カワチ薬品栄養士おすすめレシピ

あたま喜ぶレシピ 「アジのほうれん草ロール」

※ レシピは上のリンクをクリックするとPDFファイルをダウンロードして頂けます。 

2017年3月1日 カワチ薬品 ドラッグインフォメーション室

参考:●国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターウェブサイト
http://www.ncgg.go.jp/index.html

●厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

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