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テーマ虫刺され対策

夏は、虫刺されが増える季節です。近年、出入国の増加や地球温暖化による気候の変化等により、今まで身近で見られることの無かったような毒虫と遭遇する機会も増えています。虫の種類によっては、刺されると命に関わることもあるため、「たかが虫刺され」とあなどらず、事前の対策を心がけましょう。

1.身の周りに「危険な虫」が増えている?

 近年、日本ではそれまで見られることの無かった危険な外来生物が国内で発見されたという報道をよく目にします。

 例えば、昨年の夏頃に、その話題で持ちきりとなった「ヒアリ」(※1)は、極めて攻撃的な性質で、米国では、ヒアリが定着した地域住民の50〜90%もの人がヒアリに刺された経験を持つともいわれています。
 ヒアリが日本に定着したという報告は今の所無いようですが、日本と似たような気候である中国や台湾では、既に定着している地域もあるようですので、今後も注意が必要です。

 

※1:「ヒアリ」

 南アメリカ原産のアリの一種で、体長2〜6mm、主に赤茶色でつやがある。公園や農耕地等のやや開けた場所に、土で大きなアリ塚をつくるのが特徴。極めて攻撃的で、小型ほ乳類をも集団で攻撃し、捕食することで知られる。毒針を持っており、刺されると非常に激しい痛みを覚え、水疱状に腫れるとされる。


 また、既に日本に定着してしまった危険な外来生物として「セアカゴケグモ」(※2)があります。
 比較的、大人しい性質のクモですが、素手で触れたりすると噛まれることがあります。毒性が強いのがメスで、噛まれると、脱力感・筋肉痛・頭痛等の全身症状が出ることもあるようです。
 見慣れない虫を見つけた時は、むやみに手を触れないようにしましょう。
 また、虫に刺された後に発熱や体調不良等の症状が出てしまった場合は、速やかに病院へ相談しましょう。

 

※2:「セアカゴケグモ」

 オーストラリア原産のクモの一種。雌雄で形が異なり、毒性があるメスは、胴体部分が1cm程度、足の長さも含めると3〜4cm。つやのある黒色で、背中に特徴的な赤い縦型の模様、お腹側にも赤い砂時計型の模様がある。本来、日本には生息しない種だが、貨物やコンテナ等に付着して各地へ侵入し、全国で存在が確認されている。

 

2.虫刺されを防ぐ工夫

 虫の動きが活発になる夏。私達の身の周りには数多くの虫が存在しますが、毒や病原菌を持っているものも存在するため、まずは虫刺されを防ぐことが大切です。
 お出かけの際は、次のような工夫をしましょう。


(1) 服装

 長そで・長ズボン・帽子・手袋等を着用し、出来るだけ肌の露出を減らすようにしましょう。
 山や海等、虫の多い場所へ行く時は、特に注意しましょう。


(2) 虫除け

 薄着になる時は、虫除け用のスプレー剤や塗り薬等を忘れずに塗布するようにしましょう。
 また、塗りムラがあると刺されやすくなるため、満遍なく、しっかりと塗りましょう。
 塗り残しの多い部位である「首の横」「二の腕の外側」「ひざの裏側」「くるぶし」は、特に意識しましょう。

 なお、成分や含有量にもよりますが、虫除けの効果はおよそ2〜8時間程度持続します。 但し、汗をかくと流れてしまうため、こまめに塗り直しましょう。
 日焼け止めを併用する場合は、日焼け止めを先に塗り、虫除けを最後に塗るようにしましょう。

 小さなお子様には、虫の嫌がるハーブの香りを発するタイプのグッズがお勧めです。
 服に貼るシールタイプやブレスレットタイプ等がありますので、お好みのものを選びましょう。



 

3.虫に刺されてしまった時の対処法

 夏に多いのが、蚊による虫刺されですが、他にも様々な毒虫が存在します。
 虫の種類により刺された時の対処法も異なりますので、種類毎の対処法を見ていきましょう。
 


 蚊の場合、刺された後に2段階で反応が起こることが多くあります。
 刺された直後は、じんましんのようにプクッと膨らんでかゆみが出ますが、1時間程度経つと一旦消えます。
 その後5〜6時間後に再び腫れとかゆみがぶり返し、数日間ほど症状が続きます。
 かいてしまうと症状が悪化しやすいため、かかないこと、すぐに薬を塗ることを心がけましょう。

<基本の手当て>
 刺されてすぐのかゆみには、「ジフェンヒドラミン」(※3)等の「抗ヒスタミン剤」(※4)の配合された塗り薬がお勧めです。
 ぶり返すしつこいかゆみには、抗ヒスタミン剤の他に、「ステロイド性抗炎症成分」(※5)の配合された塗り薬を使うと良いでしょう。
 お子様はかき壊しやすいため、パッチタイプのかゆみ止めを貼り、患部を覆ってしまうのもお勧めです。  



※3:「ジフェンヒドラミン」

 かゆみ等のアレルギー症状を引き起こすヒスタミンの作用を抑え、皮膚等の症状等を抑える効果をあらわす抗ヒスタミン薬。風邪薬や鼻炎薬、かゆみ止め等に含まれるほか、催眠・鎮静作用を持つことから、睡眠改善薬の主成分としても利用される。

※4:「抗ヒスタミン剤」

 ヒスタミンの作用を抑制し、或いはその分解を促す薬。体内にヒスタミンが大量に生じるために起こると考えられているアレルギー症状の治療に用いられる。一方、ヒスタミンは脳の覚醒維持に働いているため、抗ヒスタミン成分が脳内に入ると、眠気等の副作用を引き起こす。

※5:「ステロイド性抗炎症成分」

 炎症を起こす物質の産生を抑える働きをする成分で、外皮用薬や痔疾用薬に配合される。炎症を抑え、出血・はれ・かゆみを鎮める。特に、痒みや発赤等の皮膚症状を抑えることを目的として用いられる。


 


ハチ

 ハチに刺された際に怖いのは、ショック症状を起こす場合があることです。
 息苦しさや冷や汗等の症状が現れた場合、ショック症状を起こしている可能性があるため、すぐに病院を受診しましょう。
 刺されてから30分〜1時間ほど経過してもこれらの症状が出ていなければ、基本の手当てを行いましょう。

<基本の手当て>
 患部を水でよく洗い流し、針が皮膚に残っている場合は、毛抜き等で抜き取りましょう。
 患部を手でつまんで毒を絞り出し、傷薬等で消毒した後、強めのステロイド剤の配合された塗り薬を塗りましょう。
 昔、ハチに刺された時にはアンモニアといわれていた時代もありましたが、今は殆ど効果が無いことが分かっています。
 



ドクガ(幼虫・成虫)

 ドクガは、幼虫(毛虫)・成虫ともに、体に生えた毒針毛が皮膚に刺さると、強いかゆみを伴う発疹が生じます。
 1回触れただけでも大量に刺さり、比較的広い範囲に複数の発疹がみられることが多いようです。 

<基本の手当て>
 患部に毒針毛が残っていると症状の範囲が広がってしまうため、まずはガムテープ等で皮膚に付着した毒針毛を取り除き、その後、患部を水でよく洗い流してから薬を塗りましょう。 
 薬はステロイド成分の配合された塗り薬を用いますが、炎症が強い場合は、内服薬が必要になることもあるため、病院を受診しましょう。
 

 


その他の虫等

ダニ:皮膚の柔らかい部分を刺されることが多いようです。
かゆみが強いため、かゆみ止め成分配合の強めのステロイド剤の配合された塗り薬で治療しましょう。

アブ:手当ての方法は、基本的に蚊と同じです。
出血していることが多いため、薬を塗る前に清潔なティッシュ等で患部を押さえ、止血しましょう。

ムカデ:患部を水で洗い流して出来るだけ毒を絞り出し、抗ヒスタミン剤とステロイド剤の配合された塗り薬を塗りましょう。
強い痛みを感じることが多いため、症状がひどい場合は病院を受診しましょう。 

ツツガムシ:病原菌を持っていることが多いため、手当てが遅れると死に至ることもあります。
刺された後に高熱や発疹が出た時は、すぐに病院を受診しましょう。

マダニ:ツツガムシ同様、病原菌を持っている可能性があります。
また、吸血しているマダニを無理に取ろうとすると、皮膚に体の一部が残ってしまうことがあるため、触らずに病院を受診しましょう。 

クラゲ:まず、毛抜き等を使って触手を取り除き、患部を海水で洗い流します。その後、強めのステロイド剤の配合された塗り薬を塗りましょう。炎症が強い場合には内服薬が必要となるため、病院を受診しましょう。

 なお、ヒアリやセアカゴケグモの他にも、注意が必要な外来生物が存在します。
見たことのない虫を見かけた時は、決して手を触れないようにしましょう。
 

4.薬を使用する際の注意点

 外用薬を2〜3日使用しても症状が改善しない場合は、虫刺されではなく、別の皮膚疾患の可能性もあるため、皮膚科を受診しましょう。

 なお、虫除けに用いられることの多い成分「ディート」(※6)は、お子様の年齢によって使用量の制限があります。
 まず、生後6ヶ月未満の乳児には使用出来ません。
 また、生後6ヶ月〜12歳未満までの小児については、顔への使用を避け、1日の使用限度(6ヶ月以上2歳未満は1日1回まで、2歳以上12歳未満は1日1〜3回まで)を守って使用する必要があります。お子様に使用される際は注意しましょう。


 長時間の外出時等、ディートの使用制限を超えてしまうような場合は、お子様への使用制限のない「イカリジン」(※7)やハーブ類を主成分とする虫除けがおすすめです。

※6:「ディート」

 蚊やダニ等の昆虫への忌避剤として、虫除けスプレー等に使用される成分。その効果は高いとされるが、アレルギー反応を起こす可能性等も指摘されており、特に幼児や子供への使用については規制されている国もある。

※7:「イカリジン」

 1980年代にドイツで開発された虫除け成分で、「ディート」と同様の効果を持つといわれる。「ディート」のように年齢に応じて1日に使用出来る回数に制限が無いため、乳児用の虫除け剤にも使用されている。


 その他、虫除けや外用薬の選び方等でお悩みの際は、店頭の薬剤師までご相談ください。
 お出かけ前の虫刺され対策を万全にして、夏のアウトドアを楽しみましょう。

2018年6月1日 カワチ薬品 ドラッグインフォメーション室 

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