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テーマ「腸」を健康に保とう

春は、新生活がスタートする等、生活環境が変わる方が増えます。環境が変わると、体調を崩したり、お腹のデリケートな方は、便秘や下痢を起こしてしまうこともあります。また最近では、腸内環境が免疫力にも影響を与えることがわかってきました。そのため、腸内環境を整える生活=「腸活」を心がけることが普段の健康づくりにも大切です。

1.健康な腸とは?

 食べ物が口から人間の体内に入ると、まず、胃や十二指腸で消化されます。
 その後、小腸や大腸で栄養や水分が吸収され、更に、大腸では腸内細菌の働きにより食物繊維が発酵・分解されます。

 腸内細菌は、人体にとって良い働きをする「善玉菌」と、害をもたらす「悪玉菌」の2つに大きく分けられます。
 善玉菌として知られる腸内細菌は、「ビフィズス菌」(※1)や「乳酸菌」(※2)等があり、悪玉菌が増えにくくなるように腸内環境を整えてくれたり、消化吸収を助けたりする働きがあります。
 また、ビタミン類を産生する善玉菌もあります。

※1:「ビフィズス菌」

 人や動物の大腸内に生息する善玉菌。人の腸には1〜10兆個存在するといわれ、その数は、乳酸菌の100倍以上を占める。糖を分解して乳酸・酢酸をつくり、悪玉菌の繁殖を抑制する等、腸内環境を良好に保つ働きをする。加齢に伴って減少していく。

※2:「乳酸菌」

 善玉菌の一種で、人や動物の腸管等に生息する。また、ビフィズス菌と違い、酸素のある環境でも存在出来るため、乳製品や漬物・味噌・醤油等、一部の発酵食品等にも存在する。糖を分解して乳酸をつくる。

 一方、悪玉菌としては、食中毒の原因菌にもなる「大腸菌」(※3)や「ウェルシュ菌」(※4)、「ブドウ球菌」(※5)等が知られています。
 これらの悪玉菌は、下痢や便秘を引き起こすだけでなく、腸内の腐敗や毒素の産生等により体に悪影響を及ぼすといわれています。

※3:「大腸菌」

 人や動物の腸や環境中に生息する菌で、増え過ぎない限りは無害だが、中でも、腸内で健康を阻害するものは悪玉菌に分類される。また、食中毒の原因となる一部の大腸菌を病原性大腸菌と呼び、種類によって症状は異なるが、下痢・腹痛・吐き気等をもたらす。増殖を防ぐには、食品衛生に気を配り、十分な加熱調理を行うことや、調理前の手の消毒等を心がけることが重要。

※4:「ウェルシュ菌」

 人や動物の腸管、土壌や下水に広く生息する菌で、酸素の無い所で増殖し、身を守る芽胞を作る。芽胞は、1〜6時間の100℃加熱にも耐える。潜伏期は6〜18時間。主症状は下痢と腹痛。カレー、煮魚、麺のつけ汁、野菜煮付け等の煮込み料理で、この菌による食中毒が確認されている。

※5:「ブドウ球菌」

 幾つかの種類が存在するが、黄色ブドウ球菌が、食中毒を引き起こす菌として有名。黄色ブドウ球菌は、人や動物に常在する菌で、エンテロトキシンという毒素を生成する。毒素は、30分の100℃加熱でも無毒化されない。潜伏期は1〜5時間。主症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢。おにぎり・弁当、牛乳・クリーム等、卵製品、肉・ハム等、かまぼこ等、和洋生菓子等でこの菌による食中毒が確認されている。

 
 

 但し、悪玉菌は、特定の菌が異常に増えた時にだけ悪さをするものであり、普段は、善玉菌と悪玉菌がお互いにバランスを保って共存しているため、通常、大きなトラブルは引き起こさない仕組みとなっています。

 腸内環境をマンションに例えると、善玉菌の入居者が多い内は腸内のバランスが取れていますが、悪玉菌の入居者が増えてしまうと、何らかのトラブルが生じやすくなってしまうということになります。


 なお、腸内には、善玉菌・悪玉菌の他に「日和見菌」に分類される腸内細菌が存在します。
 日和見菌は、その名の通り、腸内で優勢な方の性質に合わせて同じような働きをする細菌で、善玉菌が優勢な時には善玉菌の味方になりますが、逆に、悪玉菌が優勢な時は悪玉菌の味方になるといわれます。

 人間の腸には、免疫にかかわる細胞が多く存在しているといわれますので、悪玉菌が急に暴れ出さないよう、普段から積極的に善玉菌を補い、悪玉菌の増えにくい腸内環境に整えることをおすすめします。

 
 

2.腸内環境が乱れる原因

 健康のためには、腸内環境を善玉菌の多い状態に整えることが大切ですが、善玉菌は、年齢を重ねるにつれ、減ってきてしまいます。
 生まれてすぐの赤ちゃんは、腸内細菌の9割近くがビフィズス菌です。

 生まれる前、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの腸は、ほぼ無菌です。
 その後、出産直後から速やかに菌が侵入して善玉菌と悪玉菌が入り混じった状態になります。
 そして、母乳に含まれるオリゴ糖を摂取することでビフィズス菌が増殖し、生後7日間程度で腸内細菌はビフィズス菌中心となっていきます。
 更にその後、離乳食が始まると、徐々に大人と同じ腸内細菌の構成に近づいていくのです。

 

 しかし、大人になると、悪玉菌が徐々に増えてバランスを崩すこともあります。
 このような変化は、食事や生活習慣、ストレスの有無等が影響して起こると考えられています。
 また60歳頃になると、ビフィズス菌の割合は約1%以下に減ってしまい、逆に悪玉菌が増えてくるという調査結果も出ています。

 腸内環境が乱れる原因は様々ありますが、特にお年寄りに多い要因の一つが便秘です。
 便秘を放っておくと、腸内に便が滞留する時間が長くなることで、悪玉菌が増えやすい環境になります。
 また、暴飲暴食や無理なダイエットによって腸内細菌のバランスが崩れたりすることもあります。
 腸内細菌のバランスが崩れやすい生活習慣をまとめました。ご自分の生活を見直してみてはいかがでしょうか?

 

 

3.善玉菌を増やすために

 善玉菌を増やすには、整腸薬やサプリメント、ヨーグルト等を摂取して補うという方法があります。
 但し、多くの善玉菌は胃酸で死んでしまうため、毎日摂取し続けることが大切です。

 より効率的に、善玉菌を腸内に補給したい方には、胃酸に強い「芽胞形成菌(ラクボン菌、納豆菌等)」を配合した乳酸菌製剤や、胃酸に強いカプセルで善玉菌を包み込んだサプリメント等をご利用になるのがお勧めです。

 OTC医薬品(一般用医薬品)に含まれる主な善玉菌の種類を表にまとめましたので、整腸薬を選ぶ際のご参考になさってください。

 

 

 また、ビフィズス菌の栄養源になる「オリゴ糖」(※6)を摂取するのもお勧めです。
 普段、コーヒーや紅茶等にお砂糖を入れて飲まれる方は、いつものお砂糖をオリゴ糖に替えてみてはいかがでしょうか。
 オリゴ糖製品には、カロリーがお砂糖の半分ほどのもの等もありますので、ダイエット中の方にも適しています。

 また、加熱殺菌した牛乳等にも「ラクチュロース」(※7)というミルクオリゴ糖が含まれていますので、食事にも積極的に取り入れてみましょう。

 

※6:「オリゴ糖」

 ブドウ糖や果糖等、これ以下に分けられない糖が2〜10個程度結合したものの総称。代表的な種類に、マルトース、ショ糖、乳糖等がある。食物繊維と同じく、腸内の余分なコレステロール等を吸収して排出するほか、腸内のビフィズス菌等の腸内善玉菌の栄養となる等の効果が期待出来る。

※7:「ラクチュロース」

 別名「ミルクオリゴ糖」と呼ばれる通り、牛乳から作られるオリゴ糖のこと。牛乳に含まれる乳糖を加熱することで得られる。同じオリゴ糖の乳糖よりも、悪玉菌の栄養となる割合が低いとされ、善玉菌を増やすのに有用といわれる。

 

4.こんな時は病院へ

 下痢や便秘が続いている等、お腹のトラブルに加え、便に血が混じっている、急に体重が減ってきた等の症状を伴う場合は、重大な疾患が隠れていることも考えられます。
 早いうちに、一度検査を受けましょう。

 最近では、様々な機能を持つ善玉菌を配合したヨーグルトや乳製品が登場しています。
 「腸内環境を改善したい」「毎朝、快適にすっきりしたい」「内臓脂肪を減らしたい」等、様々なお悩みに対応する製品がありますので、毎日の食習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか?

 善玉菌や善玉菌を増やすオリゴ糖を毎日の食事に上手に取り入れ、健康維持のためにもバランスの取れた腸内環境を目指しましょう。

腸内環境を整える食べ物に関しては、栄養士コラムをご覧下さい。

2018年3月1日 カワチ薬品 ドラッグインフォメーション室 

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