薬剤師コラム

カワチ薬品の薬剤師がお届けする薬剤師コラム

  • 薬剤師コラム
  • 栄養士コラム

テーマ適切な糖質摂取のすすめ

 食事中の糖質を控えるという方法で近年ブームとなっている「糖質制限ダイエット」ですが、やり方によっては健康に影響してしまうこともあります。そこで今回は、糖質制限ダイエットの注意点と、糖質の摂り方についてご紹介します。

1.糖質制限ダイエットって何?

 食品に含まれる栄養素には様々な種類がありますが、中でも「糖質」「たんぱく質」「脂質」の3つは「三大栄養素」と呼ばれ、生命の維持や身体活動を行う上で欠かせない栄養素といわれています。
 糖質制限ダイエットは、この三大栄養素のうち、「糖質」から摂取するカロリーを抑えることを目的としたものです。

 糖質を多く含む食品には、ご飯・パン・麺類等、主食に分類される食品が多いことから、糖質制限ダイエットでは「主食を減らす代わりに、おかず(糖質の少ないもの)ならお腹一杯食べても良い」としているものもあり、食べることを我慢しなくて良いという自由な所が人気の秘密かもしれません。


 

では何故、糖質制限がダイエット効果に繋がるとされるのでしょうか。
 これには様々な説があります。中には「糖質そのものが、太る原因である」というような極端な説もあり、賛否両論となっていますが、今の所、メカニズムとして考えられているのが、次の2つです。

(1) 体内に蓄えられている中性脂肪が、エネルギー源として利用されるため

 糖質は、体の主要なエネルギー源として利用されていることから、糖質制限によって体内の血糖値が低下すると、体内に蓄えられていた「中性脂肪」(※1)が分解され、糖質に代わるエネルギー源として利用されるようになる。
 その結果、脂肪の減少に繋がるため、ダイエット効果が期待出来る。

※1:「中性脂肪」

 肉・魚・食用油等、食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質。単に脂肪とも呼ばれる。その性質が中性であることが、名前の由来。人や動物にとって重要なエネルギー源である一方、摂り過ぎると、体脂肪として蓄えられ、肥満を招き、生活習慣病を引き起こす。

(2) 糖の脂肪細胞への取り込みが抑制されるため

 血糖値を下げるホルモンとして知られる「インスリン」(※2)は、食後に血糖値が上昇するのに伴って分泌され、血液中の糖を脂肪細胞に取り込んで血糖値を下げるよう命令を出している。
 糖質制限を行うことによって、食後の血糖値上昇が緩やかになり、インスリンの分泌が抑えられると、その分、糖が脂肪細胞に取り込まれなくなるため、結果としてダイエットに繋がる。

※2:「インスリン」

 食後に血糖が上がらないように調節するホルモン。血液中のブドウ糖を体の細胞に送り込んで活動エネルギーに変えたり、エネルギーを蓄える働きも持つ。

 糖質制限ダイエットは、以上のようなメカニズムにより、ダイエット効果に繋がるとされています。
 逆に言えば、糖質の多い食事を取り続けていると、糖が脂肪細胞に取り込まれて太りやすくなってしまいます。
 また、食後の血糖値を急激に上昇させるような食生活を続けていると、インスリンを分泌している膵臓が疲弊してしまい、糖尿病になりやすくなってしまいます。

 特に、ご家族に糖尿病の方がいる等、糖尿病リスクの高い方は要注意です(図:糖尿病リスクチェックを参照)。
 朝食を抜いたり、夕食の時間が遅い上に沢山食べてしまったり等、食事が不規則になっていないかを、この機会に一度見直してみましょう。

 


 

2.糖質制限ダイエットの注意点

 糖質制限ダイエットは、面倒な計算は殆ど必要無く、糖質の多い食品に注意して制限すれば良いといった手軽さがある反面、次のような注意点があります。

(1) 過度な糖質制限はやめましょう

 糖質は、脳にとって無くてはならない栄養素であるため、糖質を極端に減らし過ぎると、無気力や倦怠感等の体調不良を生じる可能性があります。
 また、日本人は、1日の摂取カロリーの内、半分以上を糖質で摂取しているため、糖質を減らし過ぎると、体に必要なエネルギーが不足してしまい、栄養失調からくる体調不良のリスクがあります。

 更に、カロリーを極端に減らすと、脂肪だけでなく筋肉も落ちてしまい、代謝が落ちてリバウンドしやすくなってしまうという悪影響もあります。
 健康的な毎日を過ごすためには、過度に糖質を制限するのでは無く、適切な糖質摂取を心がけることが大切です。

 

(2) 糖質に偏った食生活にならないよう注意しましょう

 日本人の食事では、1日の摂取カロリーの6割程度を糖質で摂取することが推奨されていますが、それ以上に糖質を摂取している方、普段から糖質中心の食生活や、主食に偏った食生活を送っている方は、まずは糖質摂取量を適切にすることを心がけましょう。

 例えば、朝食は食パンに甘いジャムをたっぷり塗って食べ、昼食にこってりチャーシューメン大盛り、間食にスナック菓子やおまんじゅう、夕食にカツ丼とポテトサラダ等といった食生活の方は注意が必要です。

 他にも、料理が面倒だからと、ついついカップラーメンや即席めん、冷凍チャーハン等ばかり食べてしまうような方も当てはまります。

 これらの食品は、たんぱく質等の栄養素は少なめで、糖質が多く含まれているようなものばかりです。

 

(3) 糖質摂取量をコントロールしましょう

 適切な糖質摂取のためには、まずは糖質の多い「主食」の量をコントロールしましょう。
 様々な考え方があり、諸説ありますが、1食あたりの糖質を40g程度にすることがお勧めとされています。

 おかずにも糖質は含まれていますので、半量の20g相当の糖質を主食から摂るようにしましょう。ご飯ならお茶碗半分程度、パンなら6枚切りの食パン1/2枚程度が目安です。

 

計算が面倒だと感じる方は、普段の主食を半分程度に減らすことから始めてみましょう。その分、主食の代わりに、豆腐やこんにゃく等でかさ増しすると、満足感を得られます。

 どうしても主食を減らすのがつらいという方は、低糖質パンやこんにゃく米、こんにゃく麺等を活用すると良いでしょう。

 但し、折角主食の糖質を減らしても、おかずに糖質の多い食品が使われていると意味が無くなってしまいますので、イラストの「糖質の多い食品」は避けるか、出来るだけ少なめにしましょう。


 なお、持病をお持ちの方の場合、疾患の治療に影響が出ることもありますので、糖質制限等を行う際は、必ず医師に相談してから始めるようにしてください。
 特に、糖尿病で治療を受けている方は、服用中の薬や病気の進行状況に合わせて病院から栄養指導を受けていることが多いので、病院の指示に従って頂くようにお願いします。

 適切な糖質摂取を心がけることは、心臓病や脳卒中等を引き起こすリスクがあるとされる「食後高血糖」(※3)を抑え、生活習慣病の予防にも繋がります。
 いつまでも健康で、いきいきとした毎日が過ごせるように、毎日の食生活では、適切な栄養摂取を心がけましょう。

 

※3:「食後高血糖」

 食後2時間を過ぎても、血糖値が高い状態(140mg/dl以上)のこと。インスリンの分泌が少なかったり、働きが不十分だったりすることで、食後に血糖値が急上昇して起こる。食後高血糖の状態が続くと、糖尿病や動脈硬化の危険因子となり、放置すると血管障害が進み、脳卒中や心筋梗塞等を引き起こす恐れがある。

2018年12月3日 カワチ薬品 ドラッグインフォメーション室

  • 会社情報
  • IR情報
  • 採用情報
  • 店舗情報・検索
  • 店舗物件情報募集