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テーマ認知機能の衰え対策

年齢を重ねるほどに増えていく物忘れ…。加齢だけでは無く、様々な原因によって物忘れが起こりますが、中には認知症等の重篤な疾患を原因とするケースもあります。「なかなか人の名前が思い出せなくなってきた」等、物忘れが気になりだした方は、一度症状をチェックしてみましょう。

1.物忘れはどうして起こる?

 人間の脳は、沢山の情報の内、必要なものや関心のあるものを一時的に蓄える、また、大事な情報は忘れないように長期間保存出来るようになっています。

 このような記憶を司る脳の器官を「海馬(かいば)」(※1)と言います。若い頃は、この海馬が十分に機能しているので、必要な情報を必要な時に思い出すことが出来ます。
 しかし、年齢を重ねていくと海馬の機能が衰え、覚えるのに手間がかかるようになっていきます。また、必要な情報を思い出すのが上手くいかないこともあります。

 特に60歳頃になると、記憶力だけで無く判断力にも衰えがみられるようになるため、徐々に物忘れ(認知機能の低下)が目立つようになっていくのです。

※1:「海馬」

 記憶を司る脳の器官。目や耳から入った沢山の情報の内、関心のあるものを一時的に保存する。その後、繰り返し思い出される記憶は大脳皮質に定着し、殆ど思い出されない記憶は消滅する。名前の由来は、その断面の形状がタツノオトシゴ(sea horse)に似ているため。

 なお、海馬の機能低下は、ストレスや過労、睡眠不足等によっても引き起こされると考えられており、心身の健康状態も認知機能に大きく関係してきます。

 他にも、重篤な疾患や服用中の薬が原因で物忘れが生じることもあります。
 例えば、重度の物忘れは、認知症や脳腫瘍等の脳の疾患が原因で生じることがありますし、脳の疾患以外では、甲状腺機能低下症やうつ病等の疾患も挙げられます。
 睡眠薬や抗うつ薬、精神安定剤等の医薬品によって症状が現れることもありますので、物忘れが気になりだした方は、まず病気や薬の副作用をチェックしてみましょう。

 

2.物忘れの原因となる疾患

 物忘れが起こる原因となる主な疾患として、次のようなものがあります。 

(1) アルツハイマー型認知症

 脳細胞が段々と萎縮し、物忘れが起こります。比較的早い段階から記憶障害が起こり、他にも不安・うつ・妄想等の症状も出やすくなります。

 
 

(2) 脳血管性認知症

 脳梗塞や脳出血等の疾患により、脳細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなると、その部分の細胞が壊れてしまい、その結果、認知症を生じます。
 洋服のボタンを掛け違える等、以前は出来たことが出来なくなったりします。特に、複雑な作業が出来なくなることが多いようです。

 
  

(3) 脳腫瘍

 頭蓋内に出来た腫瘍により、周囲の脳組織と神経が圧迫され、脳機能に障害をもたらします。
 特徴的な症状は、頭痛や吐き気、嘔吐です。特に、早朝に強い頭痛を感じることがあるため、「朝の頭痛は要注意」等と言われることもあります。
 場所によっては、物忘れが酷くなったり、手足の麻痺やけいれん等が起こったりすることもあります。

 
 

(4) 甲状腺機能低下症

 甲状腺ホルモンの産生が低下する疾患で、倦怠感や気力の低下、動作が鈍くなる等の症状が現れます。
 また、甲状腺ホルモンは、脳の細胞の働きにも使われるため、不足することで物忘れが起こったり、集中力や思考力の低下がみられたりすることもあります。
 中高年の女性に多い疾患とされています。

 
 

(5) うつ病

 特別な病気が無いのに、だるさや疲れが取れない、気力が湧かない、落ち込んで何事にも興味が持てない等の症状がみられます。
 認知機能が低下して物忘れが増えることもありますし、服用中の薬によって物忘れしやすくなることもあります。

 
 

 なお、これらの疾患のうち、認知症は“単なる物忘れや加齢の症状”と見過ごされがちなので、違いを把握しておくと良いでしょう(下表参照)。

 

 

3.物忘れが気になりだした方の対処法

 まずは、心と体の疲れを取り除きましょう。
 ストレスや過労等が原因であれば、毎日少しでもリラックスする時間を持ち、良く眠り、疲れを溜めないようにすれば症状が軽くなる筈です。また、栄養バランスの良い食事を取ることも大切です。

 次に、脳の活性化を図ります。
 色々な方法がありますが(下図参照)、楽しく行うことが重要です。本人が嫌がっているのに無理強いするのは、逆にストレスになってしまうので注意しましょう。

 
 

 


 

 なお、最近では、認知機能に関する機能性表示食品も販売されています。
 機能性表示食品とは、「お腹の調子を整えます」等、特定の保健の目的が期待出来る(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示することが出来る食品です。

 認知機能に関する機能性表示食品としては、DHAやイチョウ葉を含有するものがあります。

 DHAは、脳機能の改善や神経系の発達に対して良い影響を与えると言われており、認知機能の一部である、数・言葉・図形・状況等の情報の記憶をサポートする機能があることが報告されています。

 また、イチョウ葉には「フラボノイド配糖体」や「テルペンラクトン」が含まれており、認知機能の一部である記憶力(言葉・物のイメージ・位置情報を思い出す力)を維持する機能があることが報告されています。
 酸化すると粘度が増加してしまう血液成分の酸化を防いだり、「血小板」(※2)の凝集を抑制することで脳の血流を改善する働きがあるとされ、このような作用により認知機能に影響すると考えられています。

 「あれ?思い出せない…」が増えてきたという方は、栄養バランスの取れた食生活をはじめとした日常生活の改善に加え、こうした機能性表示食品も活用すると良いでしょう。

 

※2:「血小板」

 血液に含まれる細胞成分の一つで、怪我等により組織が傷ついた際に反応し、出血を止める働きがある。

 

4.こんな時は病院へ

 物忘れが増えて日常生活に支障をきたすようなことがあったり、他人から物忘れを指摘される頻度が増えたりするようであれば、一度病院で診てもらいましょう。
 最近では「物忘れ外来」のある病院も増えてきていますので、精神科等に抵抗のある方でも気軽に受診出来ます。
 疾患が原因の場合は、早期発見・早期治療が重要ですので、一人で悩まず早めに対処することが大切です。

 物忘れ等、認知機能の衰えは、適切な対策を取ることで改善が期待出来る場合もあります。
 ご家族や友人と一緒に、是非、脳機能の活性化に取り組みましょう。

 

食生活に関するアドバイスは、栄養士コラムをご覧下さい。

2017年3月1日 カワチ薬品 ドラッグインフォメーション室

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