
私たちが生活する上で、物を「食べる」行為、言葉を「話す」という行為は欠かせません。その基盤の一つが「お口の健康」です。特に歯は、食べ物を噛み砕いて栄養を吸収しやすくするだけでなく、発音や表情の形成にも重要な役割を果たしています。今回は、いつまでも健康な歯を維持するために、気を付けたいポイントをご紹介します。
もくじ
1.いつまでも健康な歯を維持するために
(1) むし歯とは
(2) 歯周病とは
2.健康な歯を維持するためのポイント
(1) 歯みがきのポイント
(2) 歯ブラシ選びのポイント
(3) 歯みがき粉と補助用具の活用
(4) 定期的な歯科検診
1. いつまでも健康な歯を維持するために
食べ物を自分の歯でしっかり噛んで食べることは、全身の健康維持にも繋がります。1989年に、現在の厚生労働省と日本歯科医師会から、「8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動」が提唱されました。これは「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動で、20本以上の歯があれば、殆どの食べ物を噛み砕くことができ、美味しく食べられるためといわれています。
2022年に実施された「令和4年歯科疾患実態調査」によると、75歳以上85歳未満で20本以上の歯が残っている「8020達成者」の割合は51.6%で、2016年調査の51.2%からわずかに増加しています。健康な歯を維持するためには、日々のオーラルケアを徹底し、歯を失う二大原因である「むし歯」と「歯周病」の予防が欠かせません。
(1) むし歯とは
むし歯は、主にミュータンス菌という細菌が糖分を栄養源に増殖し、歯の表面に「プラーク(歯垢)」を形成することから始まります。プラークは非常に粘着性が高く、歯ブラシでしっかりこすらないと除去できません。このプラークの中で増殖したミュータンス菌が酸を生成し、その酸が歯を溶かして穴を開けることでむし歯となります。
初期の段階であれば、失われたミネラル成分を取り込んで回復させる「再石灰化」が可能ですが、進行すると歯の内部にまで進行し、痛みを感じるようになります。さらに進行すると、歯ぐきから上の部分が欠損して抜歯が避けられなくなることもあるため、早期に適切な治療を行うことが大切です。


初期の段階であれば、失われたミネラル成分を取り込んで回復させる「再石灰化」が可能ですが、進行すると歯の内部にまで進行し、痛みを感じるようになります。さらに進行すると、歯ぐきから上の部分が欠損して抜歯が避けられなくなることもあるため、早期に適切な治療を行うことが大切です。
(2) 歯周病とは
歯周病は、プラークに含まれる歯周病菌(ジンジバリス菌など)の放出する毒素が、歯ぐきなど、歯の周りの組織に炎症を引き起こす病気です。進行すると歯を支える骨である歯槽骨(しそうこつ)が溶け、歯がぐらついて最終的には抜け落ちてしまいます。
むし歯、歯周病ともに症状を進行させる要因となるプラークは、適切なオーラルケアを怠ると硬い歯石となり、自分で取り除くことが困難になってしまいます。そのため、毎日の歯みがきでしっかりプラークを落とし、定期的な歯科検診を受けて、むし歯・歯周病の予防を心がけましょう。


むし歯、歯周病ともに症状を進行させる要因となるプラークは、適切なオーラルケアを怠ると硬い歯石となり、自分で取り除くことが困難になってしまいます。そのため、毎日の歯みがきでしっかりプラークを落とし、定期的な歯科検診を受けて、むし歯・歯周病の予防を心がけましょう。
2. 健康な歯を維持するためのポイント
(1) 歯みがきのポイント
歯みがきの目的は「プラークをしっかり落とすこと」です。「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの間」「上下の歯が噛み合う面」はプラークが付着しやすい場所のため、特に丁寧に磨きましょう。食後すぐに歯みがきをすることで、むし歯予防の効果が高まります。歯周病予防には、歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、細かく前後に動かして磨く方法が有効です。


(2) 歯ブラシ選びのポイント
歯ブラシを選ぶ際には、目的とヘッド(先端のブラシ部分)の大きさ、毛先のかたさに注目しましょう。お口の隅々まで磨きたい方には小さめのヘッドを、歯と歯ぐきの境目を重点的にケアしたい方には横幅の細いヘッドがおすすめです。
また、毛先のかたさは歯ぐきの状態に合わせて選びましょう。歯ぐきの状態が健康な方は「ふつう」、炎症があり歯ぐきから出血しやすい方は「やわらかめ」が適しています。しっかり汚れを落としたい方は「かため」を選ぶと良いですが、歯ぐきを傷つけないように気を付けて磨きましょう。


また、毛先のかたさは歯ぐきの状態に合わせて選びましょう。歯ぐきの状態が健康な方は「ふつう」、炎症があり歯ぐきから出血しやすい方は「やわらかめ」が適しています。しっかり汚れを落としたい方は「かため」を選ぶと良いですが、歯ぐきを傷つけないように気を付けて磨きましょう。
(3) 歯みがき粉と補助用具の活用
むし歯予防にはフッ化物配合の歯みがき粉を、歯周病は菌が原因で生じる炎症から始まるため、生薬や殺菌・消炎成分が配合された歯みがき粉を選びましょう。「歯みがき粉は種類が多くて、どれを選んで良いのか分からない」という方は、店頭で薬剤師や登録販売者などの専門家にご相談ください。
また、歯と歯の間の清掃にはデンタルフロスや歯間ブラシが効果的です。これらの補助用具を使うことで、通常の歯みがきでは届かない箇所のプラークを取り除くことができます。


また、歯と歯の間の清掃にはデンタルフロスや歯間ブラシが効果的です。これらの補助用具を使うことで、通常の歯みがきでは届かない箇所のプラークを取り除くことができます。
(4) 定期的な歯科検診
3ヶ月に1回程度を目安に、歯科医院等で定期的に歯科検診を受けると良いでしょう。定期的な歯科健診では、むし歯や歯周病の早期発見・治療だけでなく、歯石の除去や口腔内の状態をチェックして貰うことができます。無料または低価格で受けられる歯科健診制度を設けている自治体もあるため、積極的に活用することをおすすめします。
お口の健康を守ることは、生活の質を向上させることに繋がります。毎日のオーラルケアを丁寧に行い、むし歯や歯周病を予防しましょう。また、歯科検診を定期的に受けることで、ご自分の歯を健康に保ち、「8020達成」を目指しましょう。今日から是非、お口の健康づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
ドラッグインフォメーショングループ
2025.03.01